プロジェクトの背景

2050年カーボンニュートラルの実現と人口減少・高齢化に伴う地域課題の解決を同時に考える、社会的投資を計画的に行う事が求められています。

1.長期的な対応が求められる課題に対するバックキャスティング型政策形成

①従来の行政計画の時間的視野を超えた長期的な課題に直面しています。

・長期的に人口減少・高齢化が進行する社会(2008年が人口のピーク、2040年に高齢人口が極大化)
・化石燃料をエネルギー源とする社会からの脱却(2050年カーボンニュートラル)

②あるべき社会を実現するための社会的投資を計画的に行うことが必要です。

・都市域における介護・医療サービスの逼迫、地方域における生産年齢人口の減少への対応
・コンパクトな住まい方、まちたたみ、選択的集住
・集中的エネルギー供給から分散的エネルギー供給への転換
・建築物のZEB/ZEH(ゼロエネルギービル/ゼロエネルギーハウス)化、持続可能な形での再生可能エネルギー投資

「バックキャスティング型の政策形成」

③あるべき社会像を社会の構成員と一緒に作り上げていく作業が求められています。

・2040年や2050年という時間的視野で、どのような社会にしていくのかを、みんなで共有することが必要
・そのために、「なにもしない未来」を地域の未来予測で示し、「あるべき未来」を検討する作業が必要
・「気づきのための未来予測」の重要性

「気づきのための未来予測の必要性」

2.脱炭素社会の実現

① 2050年カーボンニュートラルの実現に向けて行動する段階に至っています。

改正地球温暖化推進法

2021年に改正された「地球温暖化対策推進法」において、「我が国における2050年までの脱炭素社会(人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。)の実現」が法制化されました。

パリ協定における国が決定する貢献

2021年10月にパリ協定事務局に提出された日本のNDC(国が決定する貢献)では、2050年カーボンニュートラル目標を掲げるとともに、「2030 年度に温室効果ガスを2013 年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていく。」と定められました。

地方自治体での2050年脱炭素宣言

遅くとも2050年までに脱炭素を実現することを宣言する地方自治体は、環境省によると、2022年1月末までに、40都道府県、319市、15特別区、134町、26村の534自治体となっています。

 

② 2050年にむけて「CO2ダイエット」を計画的に行う必要があります。

省エネ

消費カロリーを減らす

再エネ

低カロリー食品をとる

固定吸収

運動して贅肉を減らす

耐久消費財・建造物の更新に合わせた省エネ投資
地域の風土に応じた再エネ投資・植林等の推進

「地方自治体が主体的取り組むべき領域がある」

③2030年までに脱炭素先行地域を少なくとも100箇所つくる計画です。

※2021年6月「地域脱炭素ロードマップ」

3.人口減少・高齢化に伴う地域課題の解決

①地方制度調査会が「地域の未来予測」の重要性を指摘しています。

・「2040 年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申」第32次地方制度調査会答申(2019年6月26日)
→2040 年頃:人口減少が深刻化し高齢者人口がピークを迎える
・各市町村がその行政需要や経営資源に関する長期的な変化の見通しの客観的なデータを基にして「地域の未来予測」として整理することが有用

②脱炭素投資は地域課題の解決にもつながる可能性があります。

脱炭素投資による地方創生効果

① エネルギーを購入するために域外に流出していた地域の富が域内にとどまる。
② 地域の事業者に新しい仕事が増える。
③ 地域で生み出された再生可能エネルギーを域外に販売できる。

③脱炭素社会の実現と地域課題の解決を同時に考えることが必要です。

将来の人口規模に応じたコンパクトシティの実現、地域資源ポテンシャルを活用した地域循環共生圏の実現など、脱炭素社会の実現と地域課題の解決を同時に考えることが必要です。